ブランドものの財布やバックは多くの人から憧れを抱かれ、知名度や憧れなどに比例して高い商品価値をもっています。
買取を行う際に注意を払うべきなのが、偽物の存在です。昨今の模造品はそれなりに完成度が高く、一つの見分け方さえ心得ていれば一目瞭然で判別できるわけではなく、精巧に仕上げられたコピー商品は、本物とそれほど変わらないように映ります。
見分け方に関する知識を入れていなければ、全体の雰囲気に騙されて、偽物を高いお金を支払って購入しかねません。ブランドものの財布やカバンの買取をするときに、注意すべきポイントなどについて解説します。
コピー商品に騙されると業界全体に影響が……
ブランド商品はなぜ何万円、何十万円もするようなものが多いのでしょうか。
もちろん理由は一つに限定できませんが、最大の理由は一流のデザイナーに時間と開発費を投入し、複雑な工程を経て発売にこぎつけるからです。
コピー商品は、ブランドとデザイナーがタッグを組んで送り出したものを模倣しているだけです。
昨今の漫画違法視聴サイトの問題と同じく、コピー品が出回ってしまうと、デザイナーやクリエイター側、それに携わる人に還元されるべきお金がストップしてしまい、業界全体が沈下していきます。
そのため買取関連の仕事に従事する人は、見破り方を身につけておくことが責務といっても過言ではありません。
偽者バッグはここがおかしい!
例えばルイ・ヴィトンの正規品には、基本的に製造番号(シリアルナンバー)が入れられています。
中には製造番号のないルイヴィトンも存在すると聞いたこともありますが、製造番号のないルイヴィトンを目にする機会はほとんどないと思います。同様に偽者のルイヴィトンのバッグにも製造番号を入れているる場合がほとんどです。ここで本物と偽物のルイヴィトンの製造番号を見比べてみましょう。
この英数字の組み合わせにも意味があり、製造された時期と製造工場を表しています。上記のエピ ノエ(黒)のシリアルは「AR0955」になっていますが、フランスの工場で1995年5月に製造されたことを表しています。この刻印の読み方も3種類しかなく非常に簡単になっています。
まずアルファベットは製造工場を表しています。
製造工場のアルファベット一覧
【フランス】AN・AR・AS・A0・A1・A2・BA・BJ・BU・CT・DU・FL
LW・MB・MI・NO・RA・RI・SL・SN・SP・SR・TH・VI・A0・A1・A2
【スペイン】CA・LO・LB・LM
【アメリカ】FH・SD・OS
【ドイツ】LP
【スイス】FA・D1
【イタリア】CE
ちなみにですが、偽物は「FL」が多いみたいです。
製造工場の数字表記の種類
続いて数字の読み方には3種類あります。
【88年以前に製造された製品】
VI881=「88年1月フランスで製造」
工場+製造年+製造月
【88年~2007年に製造された製品】
FL0997=「97年9月フランスで製造」
工場+2番目と4番目で製造年、1番目と3番目で製造月
【2007年以降に製造された製品】
TH0180=「2010年8週目」
工場+2番目と4番目で製造年、1番目と3番目で週数
基本的にはアルファベット2文字+数字3-4文字ですが、
例外としてアルファベット1文字の可能性もあります。
続いては金具が分かりやすい判断材料になります。本物は真鍮の素材を使用しているため、黄色すぎない光沢がありますし触れてみてもかなり滑らかです。
一方安易的な偽物の方は、鉄メッキの金具が多く黄色が強い印象を持ちます。また研磨自体も甘いため、ゴツゴツ感や手の触れることのない金具の内側に凹凸がある場合もあります。
もちろん革の素材も大きく違います。ルイヴィトンの代表ラインであるモノグラムラインは、主に塩化ビニール(PVC)でできています。「ルイヴィトンは長持ちする」と評価されていますが、独特な滑らかさと素材の柔らかさが特徴的です。一方偽物の中には、ザラザラした感触だったり、硬い印象を受けるものもあります。
また保存に使う袋や箱のパッケージの色味が本物と異なっている場合もあります。私の経験上、粗悪品の偽物は箱の開け閉めさえもスムーズにできず引っかかってしまうタイプのものもあります。最高級ブランドだからこそ、製品そのものだけではなく、付属品ひとつにもこだわっているからこその最高級と言えるでしょう。
本物と偽者では作者のこだわり方の面で、どこかに差が生まれています。隙がなくどこを切り取っても高いクオリティーを保っているのが、本物であることを頭に入れておきましょう。
しかしながら上記の鑑定基準はあくまで基準に過ぎません。偽物商品の中にもランクが存在し、粗悪品と本物を見比べれば一目瞭然です。しかしスーパーコピーというハイクオリティな偽物になると、熟練の鑑定士でも迷うことはあるそうです。鑑定基準を1ヶ所や2ヶ所など少ない数で判断しないのもそうですが、最後に大切になってくるのは、人を見る目です。
この製品はいつ頃買われたのか?どこで買われたのか?買取店ではごく当たり前に聞く会話の中で、買われた時期にこのモデルが発売されているのか?などそういった観点で判断することも大切になってきます。
残念ながら絶対にここを見れば判断できるというポイントはありませんが、数を見て自身の経験値を増やすこともそうですが、普段から自分がそのブランドを持つことで素材の感触など言葉では説明できない部分が染み付くと進めている鑑定士もいるほどです。
偽者財布はここがおかしい!
ブランド財布の真贋を判断するときに重要となるのは、やはり細部の作り込みです。その中でも縫製は本物か偽者かが分かりやすく表れやすい箇所です。縫い目が汚かったり、妙な傾き方をしているのが偽物の特徴です。
ルイヴィトン製品の本物は、少し縫い目に傾きがあります。一部端の方で粗くなっている製品もあるようですが、全体的に縫い目の幅は均等で正確な作りになっています。
また外側だけ見れば本物らしく映る商品でも、内側を確認した途端、愕然とするようなクオリティのものもあります。コストをかけずに、外装のみで騙そうとしている偽物も多くあります。使用する方には分かりにくい、奥まった部分や小さい刻印、上記でご説明した縫い目がその例です。
ルイ・ヴィトンの押印部分です。
LOUIS VUITTONの「O」の文字は真ん丸が正解です。楕円形になっているものや数字の「0」に近い形は偽者の可能性が高いです。
しかし金具や丸ボタンの部分に小さく彫られているLOUIS VUITTONの「O」は丸い形ではなく、「0」のように縦長な形をしているのが正解になります。
最後にルイヴィトンのボタン(凸部分)は特殊な形をしています。きのこのように盛り上がった形は独特で分かりやすい鑑定ポイントのひとつです。一方偽物の場合、丸っこい形をしてたりと一目瞭然です。
まとめ
今となっては海外に行かなくてもインターネットで簡単に偽物も買えるようになってしまいました。財布1つでも数千円〜1万円前後で新品が売買されています。
定価の1/10以下の値段だからこそ、間違いなくその作りや素材にも価格ならではの違いが出てきます。パッと見た感じでは見えないところにこそ、ディティールにこだわってじっくりと確認すれば、偽者であることが判断できます。
ブランドの値段は信頼の値段でもあります。偽物は職人やそれに関係する人達が長年培った信頼を利用して、ブランド価値を落とし、自分達だけが得をすればいいというのが偽物を作り販売しようとする人達の考えです。
そのような悪しき流れを断ち切るためにも、真贋をしっかりと見極める眼識を持ちましょう。