古物商を行う上で挙がってくる問題の一つに「仕入れ」の問題があります。
リサイクルショップなどを巡って高く売れそうな商品を発掘したり、店頭・出張買取などで仕入れを行う方法だと効率が悪く、どうしても量が集まらないという声をよく耳にします。
そこで、仕入れに困ったら利用したい方法の一つとして「古物市場」というものがあります。
古物市場とは、古物商の間で古物の売買や交換を行うための市場です。
同業者向けの古物商が商品を持ち込んだり、店舗で売れなかった商品などが持ち込まれ、「競(せり)」の形で商品が売買されます。
「山売り」「カート売り」といって、商品がまとめて売られるような場合もあり、商品を大量に仕入れたい場合に非常に役立ちます。
ただ、古物市場はコミュニティが閉鎖的で、古い習慣が残っている場合も多いようです。 閉鎖的であるが故に情報が少なく、未知のものに対する不安がわいてくるのではないでしょうか?
たしかに、古物市場に参加する場合は気をつけた方が良いことがいくつかあります。
今日はそんな「分からないから怖い古物市場」に参加する上で気をつけたいことをいくつか紹介したいと思います。
目次
マナー・知っておくべきこと
古物市場に参加するには、古物商免許と参加費や入会費が必要になるところも多いです。
また、市場によってはすでに参加している方からの紹介が必要なケースもあります。
競りの進行は市場によって差異があります。初回参加のときは「様子見」と考え、周りの人たちがどのように動くか勉強させてもらうつもりで参加しましょう。
人間関係が超重要
先に述べた通り、古物市場は「閉鎖的なコミュニティ」となっている場合が多いです。
「閉鎖的」というのは外部のものを受け入れず、場合によっては排斥します。
仲間として受け入れてもらえないと、入場や入札を制限されることもあるようなので、注意が必要です。
逆に、仲間として受け入れられることで、助け合える関係を築くことも可能です。
では、どうしたら仲間として受け入れてもらえるか?ですが・・・意外とシンプルな方法が有効です。
まずは顔を覚えてもらう
顔や名前を覚えていない人を「仲間だ」とは思わないですよね。
なので、まずは顔を覚えてもらえるようにしましょう。
市場主さんだけではなく、常連の同業者の方にも挨拶をしましょう。 市場には、「主」とは別に「顔」的な人たちがいる場合が多く、味方につけておくと、困ったときに助けてくれたり、秘密の情報(あまり情報が出回っていない古物市場の情報など)を教えてくれる場合があります。 参加者が多く、誰に挨拶したら良いかわからない場合は、市場主さんに聞いてみると良いでしょう。
最初の挨拶は簡単な自己紹介もつけると、顔を覚えてもらいやすいです。
最初は後ろの方の席に座る
競りとなると、どうしても前の席の方が有利となります。
しかし、新規で参加する場合は後ろの席に座るようにした方が良いです。 早く入場して、前の方の席が空いていたとしても、様子を見たほうが良いでしょう。 暗黙的に「特等席」が決まっている場合もあるのです。 初回参加するときに様子を見た方が良いでしょう。
符丁を覚えておく
古物市場の競りでは「符丁(ふちょう)」と呼ばれる、独特の言葉が用いられます。 符丁は値段を指して使われる言葉です。
超スピードで進行する競りにおいて、効率よく進行していくために生み出され、使われてきました。
符丁は考え方が独特で、その符丁を使う状況に応じて、その符丁が指す値段の桁が変わってきます。 初心者が符丁を使い間違えて、自分が考えているより高い値段で競り落としてしまうケースもあるようです。
関東では符丁を使う市場が多く、関西では少ないようです。 符丁を使わない選択肢はありますが、他の人が使う符丁の意味を理解せずに競りに参加することで、進行の妨げにならないよう気をつけましょう。
市場とは「人々の営みの場」である
古物市場は、市場主と呼ばれる「人」が主催して、古物商な「人々」が参加する市場です。
そんな「人々」に混じって参加するわけですから、気をつけなければいけないことがあるのは、当然のことといえますね。
特に、先人たち(業界を作り、支えてきた人たち)に対する敬意を忘れないようにしたいところです。
新規で参加する人は、先人たちが作り上げてきた仕組みを利用させてもらう立場なのですから。
実は参加するまでも大変な古物市場
古物市場へ参加するのに苦戦する話をよく耳にします。
古物市場に参加するためには市場主さん(古物市場を主催する業者・個人)に参加申し込みが必要になります。
「じゃあ、参加申し込みをすれば良いだけでは?」と思われるかも知れませんが、ここで大きな障害があります。
参加申し込みをするためには、その「市場主さんの連絡先」が必要になってきます。
古物市場の情報は警察署などに申し込めばリストを入手することが可能です。私も過去に20件ほど古物市場主に電話をしてみましたが、参加の許可を頂けたのは2件ほどでした。今ではもう古物市場をやっていないとデータ自体が古い場合もありますが、「紹介がないと..」と断られたのが一番でした。
本サイトでも古物市場の情報を紹介していますが、個人情報保護の観点から連絡先を公開できないケースがあります。
※ 「古物市場に参加するため、申し込みをする方法」については、別の記事で取り上げたいと思います。
さいごに
いかがでしたでしょうか?
閉鎖的な市場の「人間関係」を煩わしく感じる人もいると思います。
「オープンな市場」を目指して運営している市場もあり、そういった市場は先述のような人間関係の煩わしさがないのも事実です。 しかし、オープンな市場は参加者も多く、ライバルが増え、結果的に仕入れが大変になります。
「閉鎖的であること」と「オープンであること」は、それぞれメリット・デメリットがあり、「閉鎖的であること」が必ずしも悪いことではないんです。
メリット・デメリットを考慮して、両方を上手く活用していけるのが良いのかなと思います。
それでは、今回はこの辺で。
業界の発展と皆様のご活躍の助けになりましたら幸いです。